横浜市の山下実穂さん(36)がインターネットの画面にこうした言葉を見つけたのは長男を妊娠した直後でした。不妊治療のために仕事を辞めて1年半後の、待望の妊娠。まだおなかが目立たない妊娠初期に吐き気やだるさなどのつわりに悩まされました。妊婦健診などのためにバスや電車に乗ることがありましたが、席に座れず長時間立っている時のつらさはその場にしゃがみこんでしまいたいくらいだったといいます。
実際に記者も「マタニティマーク」という言葉でインターネットの書き込みを検索してみると、「妊婦だからといって甘えるなとどなられた」「お腹を殴られた」といった情報が次々と出てきました。
山下さんは「友達からも『マタニティマークをつけていると階段から突き落とされたりすることもあるらしいから気をつけて』と言われました。身を守るマークだと思っていたのにそれが逆に攻撃のターゲットにされるのはこわいと思います。自分だけの体じゃなくて赤ちゃんの命も守らなくてはいけないのにどうしたらいいんだろうか思うと、外出もためらってしまいます」と不安を訴えていました。
マタニティマークをつけづらいと感じている人はどのくらいいるのか。NHKでは産婦人科の両親学級に参加していた妊娠中の女性や、保育園に子どもを預けている母親たち70人余りにアンケート調査をしてみました。すると実に4分の1の人が「嫌な思いをしたことがある」と答えていました。
「座っている人がマークを見てから寝たふりをした」、「マークをつけていて嫌な顔をされた」という体験が多く、中には「何で座っているのよと怒られた」「じゃまだと足を出され転びそうになった」という人もいました。
また、「マタニティマークをつけるとひったくりなどの被害や嫌がらせを受けることがあると聞いた」、「マークをつけていると暴言や時には暴力に近いことを受けたと聞いた」など不安を感じさせる情報も広がっていることが分かりました。


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