1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:25:35.296 ID: M2XXsG6U0.net
少年「狼が出たぞーっ! ぼくが飼ってる羊たちが食べられちゃうよぉ!」
村人A「なんだって!?」
村人B「助けにきたぞ!」
村人C「狼はどこだ!?」
4:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:28:41.335 ID: M2XXsG6U0.net
村人A「……また嘘か!」
村人B「まったく人騒がせな!」
村人C「いい加減にしろ! これで何回目だと思ってる!」
少年(……よし)
5:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:29:35.398 ID: wMhlL+mlp.net
6:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:30:04.759 ID: M2XXsG6U0.net
少年「狼が出たぞーっ!!!」
シーン……
少年(今日は誰も助けにこない……狙い通りだッ!)
7:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:31:40.542 ID: kMIwlRY50.net
少年「行けっ!我が下僕よ!」
12:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:34:56.479 ID: Jw8DYoOT0.net
8:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:32:34.696 ID: M2XXsG6U0.net
狼A「ガルルル……」
狼B「グルルル……」
狼C「ウウウ……」
少年「君たちがどんなに暴れようが余計な邪魔は入らない! 遠慮せずかかってくるがいい!」
9:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:33:41.129 ID: o/7Q/lbJr.net
11:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:34:54.949 ID: M2XXsG6U0.net
少年「遅いッ!」
ザクッ!
少年の放った貫き手が、狼の喉に鮮やかに突き刺さった。
狼A「ゲボァッ……!」ドサッ
14:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:36:17.895 ID: o/7Q/lbJr.net
15:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:37:21.202 ID: M2XXsG6U0.net
少年「ハァッ!」ブンッ
ガゴォッ!
飛びかかる狼の顎にアッパーカットが炸裂。
少年「シィィッ!」グオオッ
メキィッ!
狼C「グハァッ!」
回し蹴りが、狼の意識を刈り取る。
19:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:40:15.807 ID: M2XXsG6U0.net
少年「君が狼たちのボスか。へえ、白くてキレイだね」
白狼「よくも仲間たちを……」
少年「ほう、しゃべれるのか……さすがだね」
少年「安心してよ。狼たちは殺しちゃいないよ。峰打ちってやつだ」
白狼「なにっ!」
少年「準備運動で殺しをするほど、血に飢えちゃいないんでね」
白狼「我々が“準備運動”だとぉ!?」
白狼「なめるなァッ!!!」
21:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:42:51.610 ID: M2XXsG6U0.net
ザシッ……!
白狼「ちっ、わずかに外れたか!」
少年「すごい速さだね……もう数ミリ傷が深かったら危なかった」
白狼「人間の脚力では我には追いつけぬ。降伏しろ」
少年「やなこった!」
白狼「ならば……血にまみれて息絶えるがよい!」
22:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:45:23.129 ID: M2XXsG6U0.net
少年「ダアッ!」
少年がローキックを放つ。
ヒットすれば、狼の脚力を幾分か封じることができる。
スピードタイプの相手を攻略するには、大正解といえる選択である。
だが——
白狼「正直すぎるわッ!」バッ
白狼は跳躍して、ローキックをかわした。
24:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:48:23.712 ID: M2XXsG6U0.net
白狼「!?」
ギュオッ!
少年のローキックは、軌道を変え、ハイキックへと変化し——
ズギャアッ!
空中にいる白狼の頭部をとらえた。
25:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:50:24.401 ID: M2XXsG6U0.net
ドザッ……
地面に崩れ落ちた白狼の前に正座する少年。
少年「……」
少年「ぼくと戦ってくれて、どうもありがとう」
白狼「いや……こうまで完敗すると、かえって清々しい気分だよ」
27:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:52:22.899 ID: o/7Q/lbJr.net
28:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:52:55.686 ID: M2XXsG6U0.net
白狼「お前は……どうするのだ?」
少年「知れたこと——」
少年「全ての羊飼いにとっての宿敵——最強の羊に挑戦する!」
白狼「な、なんだと!?」
29:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:54:14.533 ID: JI/nTLtQ0.net
30:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:54:52.045 ID: Jw8DYoOT0.net
31:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:55:52.629 ID: M2XXsG6U0.net
白狼「ヤツは人間以上の知能を持ち、ライオンやトラをも軽々捕食する最凶最悪の羊だ!」
白狼「あまりにも強すぎるので決して死なない殺せないと恐れられ」
白狼「“死不(シープ)”の異名を欲しいままにしてることは知っているだろう!」
白狼「我もヤツにだけは手を出さなかったから、言葉を話せるようになるまで生き延びられたのだ!」
少年「もちろん知ってるよ……」
少年「だって、ぼくの父さんは……ぼくの目の前で“死不”に殺されたんだもの」
白狼「!!!」
32:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)00:57:00.992 ID: xDm4MnQk0.net
33:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:00:13.408 ID: M2XXsG6U0.net
少年「お父さんの仇討ちのつもりなんてさらさらないから」
少年「お父さんは一人の羊飼いとして、“死不”に挑み、死んだんだ」
少年「仇討ちなんていったら、お父さんあの世で怒っちゃうよ」
白狼「……」
35:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:03:10.530 ID: M2XXsG6U0.net
少年「うん……ごめんね」
白狼「ならば、ヤツの住む山までは背中に乗せて運んでいってやろう」
白狼「その方が体力を消耗せずに済むだろうからな」
少年「……ありがとう」
白狼「ただし、“死不”打倒の手助けはできんぞ」
白狼「我もまだ死にたくはないからな……」
少年「分かってる! “死不”とはぼく一人で戦う!」
36:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:06:19.795 ID: M2XXsG6U0.net
少年「うん!」
狼A「クゥ〜ン……」
狼B「ガルル……」
狼C「アオ〜ン……」
白狼「みんな、お前を心配してくれている」
少年「ありがとう……必ず“死不”を倒してくるよ!」
白狼「いくぞ! しっかり掴まっていろ!」
ドヒュンッ!
37:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:10:41.525 ID: M2XXsG6U0.net
……
白狼「ここが“死不”が住む山だ」
少年「ひどい……兵隊や動物の死体が散乱してる」
白狼「“死不”にやられたのだろう」
白狼「ヤツはとどまることを知らない食欲と闘争本能で、殺戮を繰り返している」
白狼「もはや羊飼いにとってだけでない……全生物にとって宿敵なのだ!」
38:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:11:52.656 ID: NyNjqtGCr.net
39:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:13:56.268 ID: M2XXsG6U0.net
「いや……私がいうのだから羊聞きが悪い、かな?」
少年「!」ゾクッ
白狼「!」ゾクッ
少年「この声……」
白狼「まさか……!?」
40:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:15:04.927 ID: NuSC9Rfkd.net
41:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:16:50.625 ID: M2XXsG6U0.net
白狼(いつの間に……!? 我としたことが接近に気づかなかった……!)ドクッドクッ
少年(なんて殺気……! 一瞬、自分がもうあの世にいるのかと錯覚してしまった!)ドクッドクッ
羊「どうやらあなたたち、私に挑戦しにきたようですが」
羊「さて、どちらから来ます? それとも二人がかりかな?」
少年「戦うのはぼくだけだ!」バッ
白狼「うむ……我はまだ死にたくはないのでな」
羊「ふふふ、いいでしょう……かかってきなさい」
42:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:19:43.847 ID: M2XXsG6U0.net
少年「?」
羊「ところで、あなた……どこかで見たことがあるような……」
少年「覚えていたか! ぼくは5年前、お前に殺された羊飼いの息子だ!」
羊「ああ……あの時の……思い出しましたよ」
43:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:22:11.713 ID: M2XXsG6U0.net
羊「羊飼いとしてお前は許せん、と無謀にも私に挑み——」
羊「あっけなく敗れ去り、最後は息子だけは助けてくれ、と命乞いしてましたっけ」
羊「いやぁ〜……あそこまで惨めな人間はそうはいませんよ。だからよく覚えています」
少年「……!」
少年「お前ぇ〜……!」ビキビキッ
白狼「挑発だ、乗るな!」
少年「うおおおおおおおおおおおっ!」ダッ
44:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:25:25.503 ID: M2XXsG6U0.net
凶悪な速度で繰り出された羊のヒヅメを、少年はかわした。
少年「へへへ……嘘だよ!」
羊「!?」
白狼(うまい! 挑発に乗ったふりをしてたのか!)
少年「スキだらけだ!」
ズドドドドッ! ドドドッ!
羊のボディに鋭さと重さを兼ね備えた連撃が叩き込まれる。
白狼「や、やったっ!」
45:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:28:57.971 ID: M2XXsG6U0.net
少年「……!」
少年(あまり効いてない……!?)
羊「私のボディを包む、このもこもこ毛皮……こいつのおかげで助かりましたよ」
少年「ぐっ……! 衝撃が吸収されたのか……!」
羊「しかしながら、あなたの嘘には騙されてしまいましたよ」
羊「……嘘つき少年にはオシオキしてあげませんとねえ!」
46:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:31:21.334 ID: M2XXsG6U0.net
ドゴッ!
羊「芽ェェェッッ!」
ズガァッ!
数え切れぬほどの生命を屠ってきた強力なヒヅメ攻撃が、少年の全身を打ち抜く。
少年「が、がは……っ!」ヨロヨロ…
白狼「少年!」
羊「さて、トドメといきましょうか!」バッ
羊が空高く飛び上がる。
47:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:33:32.243 ID: M2XXsG6U0.net
ズギャアッ!!!
羊のヒヅメが、少年の脳天を打った。
少年「羊が一匹……羊が二匹……」
羊「脳を破壊しました……羊を数えながら安らかに逝きなさい」スタッ
白狼(終わった……! やはり子供が勝てる相手ではなかった……!)
48:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:36:36.686 ID: M2XXsG6U0.net
白狼「!」ビクッ
羊「見逃してあげましょう。この少年の突きで多少ダメージを受けてしまいましたしね」
白狼(助かった……)ホッ
白狼「!」ハッ
少年「羊が八匹……羊が九匹……羊がじゅう……う、う、う……」
49:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:40:17.586 ID: M2XXsG6U0.net
少年(これが最後のチャンス!)
少年「——嘘だよッ!!!」
少年は羊の背後から、蹴りを放った。
ギュオッ!!!
少年「——は、外れた!?」
羊「嘘つき対決……どうやら今度は私に軍配が上がったようですねえ!」
少年の“脳を破壊されたフリ”は見抜かれていた。
51:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:42:38.079 ID: M2XXsG6U0.net
少年「くっ……!」
ドゴォッ!!!
羊の強烈な一撃を喰らったのは——
白狼「ぐふっ……!」
羊「なに!?」
少年「お、狼!?」
白狼「ぐっ……なんという重さ……」ドサッ…
52:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:45:14.367 ID: M2XXsG6U0.net
白狼「どうやら……お前の嘘つきが、我にもうつってしまったらしい……」
少年「狼……!」
白狼「これを受け取れ……」ボトッ
少年「!」
白狼「お前と過ごした数時間……悪くなかった……」ガクッ…
少年「狼ィ〜〜〜〜〜ッ!!!」
54:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:47:20.553 ID: Tw9TYx+za.net
55:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:48:21.317 ID: M2XXsG6U0.net
羊「ふん、怒りでパワーアップしたつもりですか? なんと時代錯誤な……」
羊「いくら怒ったところで、あなたの攻撃は私には通じないのですよ」
少年「うわああああああああああ!!!」
グサァッ!
少年の突きが、羊の胸部にめり込んだ。
羊「この毛皮がある限り……」
羊「——!?」
56:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:51:30.669 ID: M2XXsG6U0.net
少年「狼はね、自分の牙をぼくに託してくれたんだよ」
少年「だから、毛皮を貫いてお前にダメージを与えることができた!」
羊「牙だとぉ……? あのクソ犬、余計なマネを……!」
羊「俺は“死不(シープ)”だ! 不死身の羊だ! ライオンにもゾウにもシャチにも勝ってきた!」
羊「てめえ如きクソガキに……やられるかァァァ!!!」グオオオッ
少年「いくよ……狼!」ギュッ…
少年「ハァッ!!!」
ズドォッ!!!
少年の突きは白狼の牙もろとも羊の心臓を貫いた。
————
——
57:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:55:35.451 ID: M2XXsG6U0.net
少年「ぼく、勝ったよ……!」
少年「でも、君は……」
白狼「……よくやった」
少年「え!? ……生きてたの!?」
白狼「まぁな……嘘つき初心者にしては上手い死んだフリだったろう?」
少年「んもう……狼のバカーッ!」ポカポカッ
白狼「痛い痛い! ホントに死んでしまう!」
少年「へへ……ごめん」
白狼「しかし、本当に“死不”を倒してしまうとはな……驚いたよ」
少年「君のおかげだよ。ぼく一人じゃ倒せなかった」
少年「今日からぼくたち……友達だ!」ニコッ
白狼「……うむ」ニッ
58:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)01:58:11.190 ID: M2XXsG6U0.net
メェ〜…… メェ〜……
少年「おーい、白狼! ぼくは買い物に行ってくるから、留守は任せたよ!」
白狼「任せておけ。お前の羊は我らが守る」
狼A「ガルルッ!」シャキンッ
狼B「グルルッ!」シャキンッ
狼C「ウオォ〜ン!」シャキンッ
59:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)02:01:10.236 ID: M2XXsG6U0.net
白狼「行ってらっしゃい!」
村人A「あの子……まさかあの“死不”を仕留めて、狼のボスを仲間にしちゃうなんてな!」
村人B「ああ……ただの嘘つきじゃなかったんだな」
村人C「これからはあの子のことを尊敬を込めて、“狼少年”と呼ぶことにしよう!」
— 終 —
60:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)02:06:46.947 ID: zSwBOp6rr.net
62:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)02:11:06.463 ID: b8Y378Ld0.net
63:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)02:12:56.295 ID: txMu7FJc0.net
64:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)02:16:26.764 ID: 6GSeLkjj0.net
いいオチだわ
66:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)02:20:49.548 ID: wwMi2jAF0.net
乙
67:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2017/02/07(火)03:14:35.284 ID: orsBZ/Sip.net
65:十二支君 ◆E5gR6hHwvufR : 2017/02/07(火)02:20:33.945 ID: PNaPPSuQ0.net



コメント